旅姿十人衆|Aqoursと10人目の物語

ラブライブ!が教えてくれたことで人生を楽しく、輝かせる生き方を

#01『ラブライブ!』を追いかける上で自分が大切にしていること

みなさんこんばんは、ハルチカです。

今日、2021年6月30日はラブライブ!11周年」、そしてAqours結成6周年」の大切な日ですね。今回、ラブライブ!11周年、そしてAqours結成6周年へのお祝いと感謝の気持ちを込め、「自分がラブライブ!を追いかける上で特に大切にしていること」についてインタビュー形式で答えてみたので、みなさんにお伝えしたいと思います。

  

 

3つの大切にしていること

──さっそくですが、ハルチカさんの「自分がラブライブ!を追いかける上で特に大切にしていること」をお伺いしてもいいですか。

まず最初に僕が「ラブライブ!を追いかける上で最も大切にしていること」としているのは『好き』という気持ちです。これはラブライブ!という作品自体が、制作陣、キャスト、スタッフ、ファン全て含めてそれぞれの「好き」が集まってラブライブ!という「みんなで叶える物語」が作られていると思いますし、そういう作品だからこそ、みんな「ラブライブ!が好き」なんですよね。だから僕も自分の『好き』という気持ちを大切にしながらラブライブ!を追っています。

2つ目は『後悔しない』です。2021/6/30で11周年を迎えるラブライブ!ですが、僕がラブライブ!と出会ったのは2013年1月9日(ラブライブ!1期BS11放送時)なので、ブライブ!と出会ってからだともう8年経っているわけですが、この8年間は後悔と、その後悔を取り戻すために駆け抜けることの繰り返しだったと思います。だからこそ、ラブライブ!を追いかける上で『後悔しない』ことを大切にしています。

3つ目はラブライブ!が教えてくれたこと、ラブライブ!から学んだことを自分の人生に『活かす』ことです。ラブライブ!って本当にすごくて、自己啓発本とか「引き寄せの法則」のようなスピリチュアル的な本に書いてあるようなことが、それっぽくなく、でもラブライブ!を見てこの作品が伝えてくれていることを考えると根幹的な部分は同じことを言ってるなと気づくんですよ。そういう自己啓発本とかは少しうさん臭くて手に取る人も少ないかとも思うんですけど、大好きなラブライブ!を見て学んで実践することで自分の人生を豊かにできると思うし、ラブライブ!を自分の夢に置き換えて体現したいというのもあります。また、今の時代、やりたいことがあるのにできないってことが多いじゃないですか。そういった状況でライブができなくなったり推しに会えなかったり...。そんなときに「ラブライブ!を追いかける」という点だけで考えても、ラブライブ!で学んだことが自分を前に向かせてくれるので、大切にしています。

 

ダイスキだったらダイジョウブ!

──なるほど。ハルチカさんにとっては「好き」「後悔しない」「活かす」の3つがラブライブ!を追いかける上で大切にしていることなんですね。ハルチカさんらしいと思います(笑)。特にハルチカさんのことを知っている人で、この3つの言葉が誰のものなのかを質問したら「ハルチカのだ」って当てられそうですね。ここからは1つずつ掘り下げてお伺いしたいと思います。まず1つ目の「好き」についてですが、ハルチカさんなら例えば「楽しむ」とか「全力」とかそう言ったことも入ってくると思ったのですが、「好き」を挙げた理由は何ですか。

たしかに、今回「自分がラブライブ!を追いかける上で特に大切にしていること」としては挙げませんでしたが、それに近いものとして「楽しむ」があります。

ラブライブ!を楽しむ、楽しいからラブライブ!を追いかける。

でも、その楽しいと思うのは何故か、と考えたときにいろんな要素・理由があっても結局は「好きだから」に行きつくことに気が付いたんです。好きだから楽しい、好きだから笑顔になれる、好きだから夢中になれる、全力になれる。

最初の出会いは人それぞれあるじゃないですか。「新しい企画が始まった」「何だろうアニメは?」「この可愛いキャラは誰だろう?」「この曲いいな」「友達がやってる音ゲー」みたいな。その出会いの先でさらにそこからハマっていくきっかけがあって「キャラが可愛い」「楽曲がいい」「アニメが面白い」「ゲームが楽しい」といろんなものがあると思います。

実際僕もラブライブ!を見たきっかけは、ただのアニメオタクとしてそのクールに始まったアニメだから見た、というだけのものでしたし、最初は「にこちゃんが可愛い」って思ったところから始まってます。そうして見ていくうちに、ラブライブ!の持つ物語の「熱さ」や「輝き」、「キャラクターやキャスト、制作スタッフの想い」に触れて「面白いな」くらいの気持ちだけだったのが、いつしか「大好きだ」と感じるようになったんです。

そういったようにきっかけは何だとしても、その最初に感じてた感情の中に「好き」という感情はなかったと思います。たぶん他の人も出会う前から何も知らないのに「絶対好きになってやろう!」と思ったり、最初から「好き」だと思って作品に触れる人はいないとまでは言わないですけど、少ないんじゃないかなと思います。

 ──最初は「楽しい」や「面白い」とだけ思っていたものが、作品を知る上で「好き」なものに変わっていくということですね。特にラブライブ!はセリフの中にも「好き」という言葉がよく出てきますし、それぞれの好きを大切にしているように感じますね。

そうですね。例えば自分の推しの話になるんですけど、矢澤にこちゃんも津島善子ちゃんも自分の好きを表しているんですよね。にこの好きなセリフに 「好きだから」「にこはアイドルが大好きなの」「みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって...、また明日から頑張ろうって、そういう気持ちにできるアイドルが、私は大好きなの!」  というのがあります。

──1期13話の神田明神での穂乃果との会話のシーンですね。

このときのにこがめちゃくちゃかっこいいと思ったんですよ。にこがアイドルが大好きなのも知ってたし、キャラづくりをしっかりやったりスクールアイドルとして妥協しないような子だと思ってたんですけど、ここまで真剣で本気で、このセリフを言える「強さ」を持っていることに驚きました。にこが頑張ってスクールアイドルをやることに難しい行動原理なんてなくて、そこにあるのは純粋な「好きだから」という気持ち。これってすごく大切なことだと思うんですよね。千歌の「一番大切なのはできるかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ」というセリフにも近いものがあると思います。できるかどうかじゃなく、自分が「好き」だからやる。千歌がスクールアイドルを始めたのも同じだと思いますね。

 ──そもそも「好き」じゃなかったら「やりたい」なんて思わないですもんね。

そうなんですよ。だから善子ちゃん回の「ヨハネ堕天」でも、善子ちゃんのセリフではないですけど、善子ちゃん推しとして大好きなセリフがあって、それは千歌が善子ちゃんに言う「ステージの上で自分の好きを迷わず見せることなんだよ」「だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!自分が堕天使を好きな限り!」というセリフなんです。千歌はそこでμ'sがどうして伝説になれたか自分なりに考えて答えを出したのがこのセリフなんですよね。でも、千歌のこのセリフはちゃんとμ'sの想いを受け取れていて、2期9話の「心のメロディ」で穂乃果が「大好きを大好きのまま大好きって歌います!」って言うんですよね。だから大好きを歌ったμ'sの姿を見た千歌がちゃんとその想いを受っとているのが嬉しいです。善子ちゃんの話に戻りますが、その言葉を受け取った善子ちゃんは自分の好きな堕天使ヨハネを好きなまま表してくれました。劇場版では自分が浮いていたと感じていた中学の同級生とも友達になれて、Aqoursだけじゃなく、自分の好きの姿を認めて受け入れて好きだと言ってくれる友達ができたことは本当に嬉しかったですね。

──ハルチカさんの話を聴いてラブライブ!にとって「好き」という気持ちが大切なものだと改め気づかされました。

ラブライブ!自体がそういうみんなの「好き」が集まったコンテンツだからだと思います。それこそ、「μ'sが大好き、ラブライブ!が大好き」って想いでラブライブ!のオーディションを受けてキャストになってる人もいますし、製作スタッフの中にも「ラブライブ!が好きで、作品作りに携わりたい」と思って飛び込んだ人もいると思います。

だからこそ、ただの1ファンとしてですけど、自分もラブライブ!に触れる上で、ラブライブ!を追いかける上で自分の「好き」の気持ちは大切にしたい。それに、ラブライブ!は追っていると何度も何度も「大好きだ」と思わせてくれる瞬間をくれるんです。よく「それぞれのラブライブ!がある」って言葉が使われると思うんですけど、それって言いかえれば「それぞれの好きがある」だと思うんですよね。それぞれの好きが”ラブライブ!”という受け皿に集まったのが「みんなで叶える物語」だと思います。

だからこそ、ラブライブ!」という作品は、みんなの大好きという想いが集まって、重なって、繋がって、広がって、大きくなって今こうして11年を迎えられたし、11年の中でいろんな夢を叶えてきたんだと思います。

──「それぞれの好き」=「それぞれのラブライブ!」という考えはすごく共感できます。

結局ここで伝えたいことは、好きになるきっかけはどんなものでもいいし、どんな理由でもいい。追っているうちに「あ、自分はラブライブ!が好きなんだ」と気づく瞬間が来るんです。好きだから楽しいし、好きだから夢中になれるし、好きだからやってみたくなるし、好きだから感謝を伝えたくなる。 そして行き着く先は「好きだから好き」になるのかなと思います。好きの気持ちを因数分解して1つ1つの要素に分けることはできると思いますけど、それぞれの要素が複雑に絡み合って、互いに作用しあって「好き」という気持ちが生まれていると思うので。だからラブライブ!を追いかける上で大切なものとして「楽しさ」「やりたい」「繋がり」「仲間」「行動」「それぞれの想い」とかいろいろあると思いますが、「好き」が全部の根幹になっているし、それぞれが重なり合って「好き」になっていると思うので「好き」を大切にしているものの1つとして挙げました。

ここまでいろいろ話しましたが、結局言いたいことは自分の中にある「好き」の想いを大切に、そして信じていればきっと大丈夫だってことです。 「ダイスキだったらダイジョウブ!なんです。だから12年目に突入したラブライブ!をこれからも自分の中にある『好き』の気持ちを信じて追いかけていきます。

 

”後悔しない”。でも、”後悔していい”

──ありがとうございます。続いて2つ目の「後悔しない」についてですが、先ほど「後悔と後悔を取り戻す」というお話をいただきましたが、具体的にどのようなことがあったのでしょうか。

 先ほども少し話したのですが、僕がμ'sと出会ったのは2013年1月の1期放送時なんですけど、ラブライブ!にハマって大好きになって今のように追いかけ始めたのは実は2014年になってからなんですよ。

当時は”ラブライバー”というより、ただのアニオタで、毎クールいろんなアニメを見て、終わったら次のクールのアニメを見て...と、いろんなアニメに手を伸ばしてはそのクールが終わるとそれで終わり、というような感じでオタクをやっていました。中には好きでBlu-rayを集めたりフィギュアを買ったりするようなアニメもあったのですが、当時ラブライブ!をリアタイしていたときは今のようにハマっていなくて、言い方は悪いですけど、1期が終わった時点で自分の中では終わったアニメ、となっていました。

──そうなんですね。そんな終わったアニメ、となっていたラブライブ!が2014年から追いかけ始めたとおっしゃってましたが、自分の中で特別な存在になったきっかけは何なんですか。

それは2014年2月9日に「μ's 3rd Anniversary LoveLive!」(以下、μ's3rdライブ)のBlu-rayを友達の家で見たことがきっかけでした。実はその友達は2014年2月8日、9日に行われた「μ's Next LoveLive! ~ENDLESS PARADE~」(以下、μ's4thライブ)のライブビューイングに行っていたんです。

その友達は高校の同級生で札幌に住んでいたんですけど、当時僕は「初音ミク」が大好きだったので、そのとき札幌で雪ミクの先行販売があるということで買いに行くために札幌の友達の家に泊まらせてもらって、そのあと一緒に函館に帰る計画をしました。

それでLV帰りの友達と合流したときに「ライブどうだった?」と聴くと「面白かったよ」と言っていたので、声優さんのライブがどういうものなのか気になったので、その友達の家にあったμ's3rdのBlu-rayを見ることにしました。それがラブライブ!との2度目の出会いであり、全ての始まりでした。

  ──わかります。μ's3rdライブは本当に特別なライブですもんね。

 そうなんですよ。僕は今まで声優さんのライブというのは、その声優さん名義でただそのキャラのキャラソンを歌う、主題歌を歌うだけのものだと思っていたんです。ステージの上に立っているのはキャラクターではなく一人の声優さんだと。僕はアニオタだったので、中の人にはそんなに興味はなかったんです。キャラが好きだったので。たぶん今のAqoursのキャストや小林愛香さんを推してる自分からは想像つかないかもしれませんが(笑)。

その固定観念を取り払ってくれたのがμ's3rdライブだったんです。ステージに立っているキャストを見ると、穂乃果たちキャラクターが着ている衣装そのまんま、歌も振り付けもアニメのまま。今でこそ2.5次元と言ってアニメとのシンクロが当たり前になっていますが、当時の自分にはやはり衝撃的で。映像でしか見てない状態でもそのキャラとキャストがリンクする姿には目が離せなくなっていました。

そして何より、自分の心を一番熱くしたのがアンコール後のMCと「僕らは今のなかで」の合唱でした。これまではアニメしか見ていなかったので、キャストやラブライブ!を応援しているファンの想いというものには触れてこなかったんですよ。だからμ'sのみんなが泣きながらラブライブ!への想いを語ったとき、「こんなにもラブライブ!を大切に思っていて、こんなにも熱い想いでラブライブ!をしてきたのか...」と本当に衝撃で。それと同時にその想いに今まで見向きもしてこなかった自分の向き合い方を恥じました。そしてTVアニメ2期が発表されたときのキャストみんなが泣いた姿、観客の歓声、半年以上も前にあったライブをBlu-rayで見ていただけなのに、めちゃくちゃ号泣してしまって...。さらに追い打ちをかけたのが「きっと青春が聞こえる」からの僕らは今のなかで」の合唱でした。当時のことはわかりませんが、きっと最初から「僕今を合唱しよう!」なんて企画はなかったと思うんですけど、その場にいたラブライバーのみんなが歌い始め、それに反応する形でμ'sのみんなも歌い始めた。そのときに初めて「みんなで叶える物語」を強く感じたんです。

──それが大きな転換点となり、そして後悔したと。

はい。ラブライブ!を1期から見ていたのに、3rdライブに行かなかった後悔、それどころか今日その日にやっていた4thライブにすら行かなかった後悔がそこで生まれました。何でもっとラブライブ!を好きになっていなかったんだろう、何でライブに行かなかったんだろうと。でも、先ほどの「好き」についてでも話しましたが、出会う前も、出会ったときも、最初から「大好きになる」という確信を持ってコンテンツに触れてはなかったので、アニメ1期を見ただけだと自分の中では特別めちゃくちゃ好きだという感情は生まれてなかったんです。ラブライブ!自体、アニメのμ'sと現実のμ's、2つの物語が合わさって1つの物語として完成されるものだと思っているので、自分の中には半分のピースしかなかったんですよね。だから仕方ないと言えば仕方ない。でもやっぱり大きな後悔がそこに生まれました。

そこからは今までの後悔を取り返すように、ラブライブ!1期を全部見直し、CDを買いあさり、2か月後の4月から始まるラブライブ!2期を全力で楽しむためにとことんラブライブ!のことを調べ、今までのラブライブ!を楽しみました。それと同時に「μ's GO→GO! LoveLive! 2015 ~Dream Sensation!~」(以下、μ's5thライブ)には絶対に行くという固い意志も生まれました。ラブライブ!2期は本当に面白かったし、これまで以上に感じる感動も大きくて毎話号泣していましたね。放送が終わった後はその友達と朝まで通話して感想を語り合ったりもしました。μ's5thライブもその友達と連番でしたしね。その後、劇場版、そして「μ's Final LoveLive! ~μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪~」(以下、μ'sFINAL)までは全力で駆け抜けました。そこには後悔は全くないですね。

──ラブライブ!にしっかりと向き合ってこなかったという「後悔」がハルチカさんの気持ちを大きく変えたということですね。

そうですね。そもそも後悔するって、それだけ何か胸に響いてくるものがないと後悔なんてしないじゃないですか。どんなに周りがいい作品だと言ったとしても、自分に何も刺さらなければ、それで終わってしまう。後悔している時点では「好き」になっているんですよね。今まで特別好きでも何でもなかったコンテンツなのに。ここは不思議だなと思う部分でもあるんですが、それだけラブライブ!、μ'sが持っていたエネルギーは大きなものだったんだと思います。

──ということは、その後のラブライブ!ラブライブ!サンシャイン‼を追いかけてる上で、後悔することはなかったんですか。

それがそういうわけでもないんです。実はμ'sFINAL以降、いわゆるμ'sロスのような状態になってしまって...。ラブライブ!の続編シリーズが出ることは電撃G'sマガジンを買っていたので2015年から知っていましたし、何ならグループ名の募集に案を送ったりもしていました。でも、2016年のμ'sFINAL前後はμ'sのことしか考えていなかったので、初期のAqoursのことはほとんど追えていないんですよ。結局同じ過ちを繰り返しちゃったんですよね。あれほどμ'sのとき後悔したのに。

実は2016年7月から「ラブライブ!サンシャイン‼」が始まって、僕ももちろん1話からμ'sを一緒に追いかけていた仲間と見ていました。でも、正直かなりμ'sを引きずってしまっていたんですよね。1話から13話まで全部リアタイして見て、その中で自分の中で1期最終話である13話を見たときに「結局ラブライブ!サンシャイン‼って何を伝えたかったんだろう」となったんです。

──今のAqoursが大好きなハルチカさんからは想像もつかないですね。

今思うとラブライブ!サンシャイン‼のこと何も見れてなかったなと思います。言い訳にしかならないですけど、きっとμ'sと同じくらい大好きになるものはないと自分自身で勝手に思い込んで、Aqoursが伝えてくれていたことを見ないようにフィルターをかけてたんだと思います。その大きな要因になっていたのは、やはりいわゆるμ's原理主義者の存在ですね。2016年4月以降、僕のTLは2極化していたんですよ。

それは、μ's原理主義者がμ'sの話をするわけでもなくただAqoursを批判するツイートと、μ'sの話を全然しなくなってすぐにAqoursの話ばかりになった人のツイートだったんですけど、自分はそのどちらでもなくて、ただ純粋にμ'sの話がしたかったんですよ。μ's原理主義者がただμ'sの話をしてくれればまだ良かったのかもしれないんですけど、μ'sを引き合いに出してAqoursを貶す。それが自分は許せなくて、「スクールアイドルの素晴らしさを伝えよう」とμ'sが「SUNNY DAY SONG」を歌ってくれて、そのμ'sの輝きを受け取って「自分も輝きたい!」と駆け出したのがAqoursだったので、Aqoursを否定することは絶対にしたくなかった。でも、一番好きなμ'sの話をしても聞いてもらえない。そんな状況が自分の「好き」を歪めたのかな思います。今だったら当時とは違って「自分の好き」を信じてるので、同じことは起きないのかなと思います。

──そんな状況のハルチカさんを変えたのは何だったんですか。

そんな自分が変わるきっかけになったのは、μ'sを追いかけてた頃の仲間ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~」(以下、Aqours1st)のLVに行ったことです。Aqours1stの1週間前にオタクたちと飲む機会があって。Aqours1stの1週間前だし、自分が行っても楽しめるかどうかわからなかったんですが、ぜひ来てほしいと言われたことと、ラブライブ!の話ができるならと行ってみたんです。そこではもちろんAqours1stの話になったんですが、それ以上に「自分がμ'sがいつまでも好きで、Aqoursの物語に不完全燃焼になっていて自分の中で落とし込めてないことで悩んでいる」という話をしました。

そしたら周りのオタクはみんな僕の話を聴いてくれて、僕のラブライブ!に対する想いを受け止めてくれたんです。そして、自分の中にある”Aqoursへの想い”に気づきました。別に僕はAqoursのことが嫌いじゃなかったんだと。ちゃんとAqoursに対しての想いを持っていて、だからこそラブライブ!サンシャイン‼の物語が不完全燃焼で終わってしまったことに悩んでいるんだと。そこで「そんなにラブライブ!が大好きなハルチカにこそ、Aqours1stを見に行ってほしい」と言われて、そこまで言うならば、とLVのチケットを買ったんです。

たぶんその飲み会がなければ、Aqours1stにも行っていなかったので、飲み会は大きな転換点でしたね。

──仲間に救われたってことですね。

そうですね。なので、今でも感謝しています。そして1週間後、Aqours1stのLVを見に行きました。会場に入ってスクリーンを見ると、そこにあったのはあの頃と変わらない9色の光。色こそは違っても「あぁ、ラブライブ!だ...」と思いました。その後のセトリはみなさんもご存じだと思うので細かく語りませんが、スクリーンに映し出されるキャラクターたちと、それと同じ衣装、同じ振り付け、同じ歌声で歌うキャストたち。まぎれもない”大好きなラブライブ!だったんですよね。そして極め付けは「始まりの物語」からの「MIRAI TICKETです。

正直、自分の中のラブライブ!サンシャイン‼の物語をよくわからなくしていたのが、TVアニメ1期13話だったんです。特に「始まりの物語」は何でラブライブ!予選のステージで「前回のラブライブ!サンシャイン‼ロングバージョン」みたいなものをやるんだろうと思いました。でも、Aqours1stでキャストが演じた「始まりの物語」と「MIRAI TICKET」を見たときは、スッと自分の中にAqoursだけの物語」が入ってきたんです。Aqoursがどんな想いを持っているのか、Aqoursがこれからどんな物語を作ろうとしているのかが。先ほども話しましたが、ラブライブ!ってキャラクターの想いだけじゃなくてキャストの想いも大切なんですよね。どちらか一つだけじゃダメで。アニメを見ただけだと、キャラクターの想いしか知れないんですよ。だからライブが必要で。たしかに「始まりの物語」はキャラクターのセリフなんですけど、それを現実に再現することで「キャストの言葉、キャストの想い」にもなるんです。だから、アニメで見てるときよりも、スッと自分の心の中に入ってきたんだと思います。気づいたら涙が溢れて前が見えなくなってました。そしてAqoursのことが大好きになっていました。それと同時にまた後悔も生まれてしまったんですけど(笑)。

──最初からAqoursの存在を知っていたのに追わなかったことを、Aqours1stでAqoursのことが好きになってから後悔したと。

そうです。まぁ、これも仕方ないことですけどね。好きになるきっかけはそれぞれのタイミングだと思っているので。でも、その後悔があったから今の自分があります。そのときはAqoursはまだまだこれからのグループだったので、楽しめることはたくさんあるし、Aqoursが一番大変だったデビューしたての頃に応援できなかった分、これからは全力で応援しようと思いましたし、自分自身がラブライブ!サンシャイン‼をとことん楽しんでやろうと思いました。何より一度μ'sFINALを経験しているので、今でこそAqoursは終わりを見せずに走り続けてくれていますが、いつかは終わりが来ることを知っていたので。そのときまで後悔しないように、「やり残したことなどない」って言えるようにAqoursを追いかけているつもりです。

だから、Aqours1st以降のAqoursの国内ライブやイベントはほとんどのところに行ってますし、海外も3回行きました。お金はかかりましたが、Aqoursが活動を終えた後に「あのとき行っておけば良かった...」と後悔したくないし、実際今この瞬間を全力で追いかけた日々はほんとに充実していて楽しかったので全く後悔はないですね。

──これまでたくさんの後悔をしてきたハルチカさんですが、これからも後悔のないように駆け抜けていくためにどう行動していきますか。

 これは矛盾しているんですけど、「後悔はしてもいい」と思っています。というのも、僕のラブライブ!は後悔から始まっています。「μ'sにもっと早く出会ってればよかった」「Aqoursを最初から応援してればよかった」その後悔があるから、今ラブライブ!に全力になれている今の自分がいます。きっとこの記事を読んでくれている人の中にも、「ラブライブ!ともっと早く出会いたかった」、「ラブライブ!のことを知っていたのに見なかったことを後悔している」という人はいるんじゃないでしょうか。自分も同じです。人間誰しも後悔をする生き物だと僕は思っていて、後悔しない人なんかいないんじゃないかと思うんですね。

後悔って何かって言うと、「後から悔しいと思う」のが後悔なんです。だから、後から振り返ったときに「こうしておけばよかった」「もっとこうすべきだった」と自分の言動を省みて残念がると後悔になる。僕が先ほど話したμ'sのこともAqoursのことも同じです。人間は常に今を生きていますが、後悔の原因になることは「過去」にあるんです。だから「今」何かをやってるとき、その対象に出会っていなかったり、存在を知らなかったときは後悔していないし、後悔になるかどうかなんて「未来」にならないとわからないんです。だから、もしその「後悔」をしてしまったなら、その気持ちを忘れないで次に繋げてほしいです。

あとはやっぱり「やりたいことをやる」。自分の場合、例えば、打ち上げの主催をやるようになったり、フラスタを出したり、一緒に追いかけてる仲間とAqoursにスケッチブックリレーのフォトブックをプレゼントしたりしました。打上げの主催をやるようになったのはAqoursからで、Aqours2nd神戸公演のときに企画したのが始まりです。当時は関西勤務で神戸に住んでいたので、みんなが神戸に来てくれるなら自分が主催してもてなそうと思ったのがきっかけですね。フラスタはAqoursにも小林愛香さんにも贈ってるんですが、これもμ'sのときにできなかったことなんです。当時は大学生でしたし、フラスタの出し方もわからない。お金もない。だから「やりたいけど、できない」と思ってたんです。でもやっぱり好きなAqours小林愛香さんに感謝を伝えたいし、お花でおめでとうを伝えたいと思って。最初は地元開催の「HAKODATE UNIT CARNIVAL」で出しました。Aqoursが地元に来てくれることなんてないと思ってたのでこのチャンスを逃すまいと。それ以降、フラスタとか楽屋花は毎公演出すようにしています。やってみたら意外と簡単で。あと、すごく嬉しいこともあって、小林愛香さんの1stファンミーティング「and PARTY!!」のときに出したフラスタを小林愛香さんがちゃんと見に行ってくれてて、みんなのフラスタと一緒に写真を撮ってくてれたんですよ。その中で僕の出したフラスタの目の前に小林愛香さんが写ってて。「フラスタ見てくれてたらいいな」くらいの気持ちだったんですけど、まさか一緒に写真に撮ってくれるなんて思ってなかったんで、本当に出して良かったと思ったし、想いはちゃんと届いてるんだと感じて嬉しかったですね。

──「後悔」があるから「後悔のない」今が生まれるということですね。

そうです。後悔に気づいて、「あのときこれができなかったからこれからはこうしよう」と一歩踏み出すことが何よりも大切だと思います。だから、”過去”に対する後悔はしてもいいけど、”今”この瞬間、”未来”に対する後悔をなるべく作らないようにすることが大事だと思います。

そのためには、今この瞬間、その選択肢を選んだときに自分の想いに嘘をつくことをやめる。自分自身の好きの気持ちが示す方向に進む。心の羅針盤に従って、ハートの磁石を握りしめて、心がワクワクする方に進んで行く。それが後悔しないための最善策かなと思います。

Aqoursとこれから楽しい未来を作るため、ラブライブ!シリーズの未来を作るため、僕は自分の好きを信じて好きなラブライブ!を追い求めていきます。ラブライブ!は「みんなで叶える物語」なので、みなさんも同じように進んで行けばきっと素敵な未来は作れると信じています。

  

学んだことを『活か』して自分の人生を豊かに

──ありがとうございます。それでは最後3つ目の『活かす』について教えてください。

冒頭でも少し話した通り、ラブライブ!という作品は人生を生きる上で大切なことを教えてくれている作品だと思っています。だから、単に自分が楽しむだけにとどめるコンテンツにするのはもったいないと思うんです。

特に今の世の中は567のせいで人と会って話しにくかったり、ライブができなかったり、やりたいことができないなかで、「じゃあどうするの?」となるわけですよね。それってアニメで言うと、「廃校阻止ができなかった、じゃあどうするの?」と自分たちの力ではどうしようもない出来事が目の前に突き付けられたとき、どう行動するか、どう考え方を変えるか、ということと同じだと思うんです。

先に言っておきますけど、今の現状にまったく納得しているわけではないです。有観客のライブに行きたいし、声も出してAqoursに「ありがとう」を伝えたい。フラスタも出したいし、ライブ後にみんなで打上げをしてお酒を飲んで語り合いたい。でも、実際にそれができない今、ただ指をくわえて何もせずにいるだけなのは嫌なんです。だから今回のこの企画もいいものだと思います。いつも一緒にラブライブ!を語っている仲間はもちろん、まだ出会ったことのない人の「それぞれのラブライブ!」が知れるいい機会ですし。何もできない世の中だからこそできることがある。「今だからできること さあ始めようよ」なんですよね。

そういったメンタリティが一人ひとりに必要な時代だと思うからこそ、「ラブライブ!」がアニメの物語や歌詞、キャストの活動で伝えてくれてるものを受け取って実践しようよ、ってことなんです。

 ──ラブライブ!から受け取ったものを自分の人生に活かすというのは本当に大切なことだと思います。そう考えるようになったきっかけはあるんですか?

実際、このような考え方をし始めたのもラブライブ!サンシャイン‼になってからなんです。μ'sを追いかけているときは、ただ自分が楽しければ良くて、物語や歌詞の考察をしてもそれをキャラクターやキャストの活動と繋げるだけで、自分自身の人生には何も活かしてこなかったんです。

でも、Aqoursに出会ってその考え方が変わって。Aqoursってキャラもキャストもμ'sが大好きじゃないですか。その「ラブライブ!が大好きって気持ち」は僕らと何ら変わりないと思うんですよね。でも、違うところがあって、それは、μ'sが教えてくれたことを自分の人生に活かしてラブライブ!のキャストをしているってことなんです。そんなAqoursの姿を見て、同じラブライブ!が好きなオタクなのに自分との差をものすごく感じてしまって。僕は今年27歳になるんですけど、Aqoursのキャストとそんなに年齢差がないんですよ。Aqours1stを見たあと、同世代の女の子たちが頑張ってるのに自分は何もしていないのが凄く嫌で、そこから自分も自分の人生を輝かせよう、夢を叶えようと強く思い始めました。

 ──そんなハルチカさんの夢をお伺いしてもいいですか。

夢としては、抽象的ではありますが、「大好きな地元の函館をよりよい街にすること」が一つあります。それは高校生のときに大学進学を考え始めたころからの夢なんですが、そのために今は地元から離れて東京で暮らしながら仕事の中で夢を叶えるための方法を学んでいます。今の仕事も一度は辞めようと考えていて、最初はやりたい仕事とは違う部署にいたんです。それで社会人1年目のときに「今の部署じゃなくて、東京での仕事がしたい」と当時の上司に直談判しました。それから3年経って今ようやく東京でやりたい仕事ができているので勇気を出して話して良かったなと思います。もう一つはAqoursの夢」そして小林愛香さんの夢」も自分の夢の一つですね。Aqours小林愛香さんも、「みんなと一緒に夢を叶えていきたい、みんなとなら叶えられる」と言ってくれているので。一緒に叶えていきたいです。

──Aqoursがその勇気をくれたんですね。

そうです。その勇気をくれたのがAqoursで、悩んでいた1年目のときにあったのがAqours1st、2nd、ラブライブ!サンシャイン‼TVアニメ2期、ファンミーティングツアーでした。Aqoursの姿を見るたびに自分も頑張らなきゃと思ったし、特に「太陽を追いかけろ!」勇気はどこに?君の胸に!の存在は大きかったです。1年目で最初に悩み始めたのが夏頃で、そのときによく聴いていたのが「太陽を追いかけろ!」で。太陽を追いかけろ!の「いつだって世界って同じじゃないね」「キミだって飛びだしたいキモチもってるね」って歌詞に凄く勇気づけられました。酒井監督の言葉に凄く好きな言葉があって、ラブライブ!サンシャイン‼って、世界はいつもあるがままで変わらないように見えても、自分が変われば世界は変わる。そのことに気づく話なんです」と書いてあったんですよ。まさに「太陽を追いかけろ!」で、自分が求めていたものなんですよ。なので、当時は自分の見方を変えれば世界が変わると信じて仕事を頑張っていました。そうするとやりたい仕事じゃなくても意外と面白く感じるようになってきて楽しかったですね。もう一つの「勇気はどこに?君の胸に!」ですけど、これも同じような感じで、冬頃に仕事は別に嫌ではないけど、やっぱりやりたい仕事をしたいと強く思うようになって。上司にそのことを言うかどうするか悩んでた時に「本気になるときは今だとわかって 逃げたらいつまでも 心が苦しいよ」「もっと勇気だして もっとその勇気は君にあるよ」って歌詞にめちゃくちゃ勇気づけられたんです。特にファンミの千秋楽である幕張公演の2期11話ver.。翌日会社行ってすぐに上司に「別の部署の仕事がしたい」と言いました。

──ハルチカさんと言えば『勇気はどこに?君の胸に!』なところありますもんね(笑)。実際にAqoursからの歌詞を受け取って自分自身の行動したことで自分の世界が変わったってことですね。

もちろん、Aqoursだけじゃく、μ'sや虹ヶ咲、Liella!の物語やキャストの活動、歌詞からも力をもらいます。そうやってラブライブ!からもらったものを自分自身の人生に活かしていくことで、考え方も変わったし、見える世界そのものが変わりました。だからこそ、ラブライブ!をただ享受して楽しむだけで終わらせるのは嫌なんです。別に「ただ楽しいから」って想いだけで追いかけてる人を否定するつもりもないし、一番は「楽しむこと」が大事なのでそれでいいと思います。でも、何か人生で悩んでいること、自分の好きを自由に表せなかったり、やりたいことができなかったり、毎日が楽しくなかったり、そんな人こそラブライブ!の考え方を実践してほしいなと思います。

──ハルチカさんにとってラブライブ!を追いかけていった先の最終到達点みたいなものはあるんですか?

自分の最終目標は、ラブライブ!が好きだという想いを信じてラブライブ!を最後まで追いかけて、自分の人生も楽しんで、Aqoursのみんなに「Aqoursのおかげで自分は夢を叶えて人生を楽しめた、ありがとう」と伝えたいし、死ぬ直前に「やり残したことなどない」って言うことですね。ラブライブ!があったから、今自分は自分の人生を楽しめてます。ラブライブ!も楽しんでるし、ラブライブ!から外れた自分の人生も楽しめてる。でも、自分の人生にも楽しみたいこと、輝きたいこと、夢を叶えたいこと、“ラブライブ!”があるんです。そのためにも「この瞬間しかない今を全力で楽しみたい」と思っています。『限られた時間の中で精一杯輝く』のがスクールアイドルで、ラブライブ!なので。それが”アニメの物語やキャストの活動によるラブライブ!を追いかける上で大切にしていることだし、”自分の人生というラブライブ!を追いかける上で大切にしていることです。

 

最後に

ラブライブ!11周年、そしてAqours6周年、本当におめでとうございます。

僕はラブライブ!と2013年に出会って今年で丸8年が経ち、9年目を過ごしています。その中でたくさんの後悔をしたのと同時に、たくさんの大好きなものに出会い、いろんな夢に触れてきました。μ's、Aqours矢澤にこちゃん、津島善子ちゃん、小林愛香さん、沼津、地元の函館、仲間...。

11周年を迎えたラブライブ!シリーズ。大好きをたくさんくれたラブライブ!、そして自分の大好きなラブライブ!をこれからもずっと追いかけ、一緒に「みんなで叶える物語」を叶えていきたいです。

だから、これからはもっとよろしくね。I live, I live, LoveLive!days!!

2021年6月30日 ハルチカ